2008年4月11日金曜日

FFCCの収益予想(小さな王様と約束の国)

 Wiiは国内で400万台売れているらしい。そのうちネットに繋がっているのは200万台。感覚的にも半分くらいはネットに繋がっていない(半分はつなげている)というのは納得できる数値だと思う。じゃあこのうちお金を払ってVCを買う人はどのくらいだろう。半分は買わないだろうけど、10分の1くらいじゃないだろうか(仮定1)
 FFCCは1500円だから、おおよそWiiソフト1/3の値段だ。VCとしては高いけど、Wiiウェアという新作ソフトの値段としてはまあまあだと思う。RPGが好きな人ばかりではないだろうから、やっぱり1/10くらいの人が買うんじゃないだろうか(仮定2)
 すると、200万台 x 10% x 10% = 2万本くらいは売れてるんじゃないかなあと言う予想になる(予想1)
 どうやらWiiウェアの任天堂の取り分は、3割のようだ(仮定3)まあ流通だとかなんだとか考えたら、妥当なラインのような気がする。すると、2万本 x 1500円 x 70% = 2100万円となる。(予想2)

 なんかずいぶん少ない気がする。実験プロジェクトだから収益がとんとんでも構わないとする事も出来るけど、一回出しちゃったら同じ値段でしか売れない(高くなるのはどうなのよ)気がする。からちゃんと採算ベースに乗ってるのじゃないかな。人件費の10%の売り上げがあったら良しとするのはどうだろう。(仮定4)若手の育成かつ、ブランド認知でお金が稼げるなら御の字、とか。すると、1909万円 x 110% = 2100万円となるので、1909万円が人件費になる。(予想3)
 開発スタッフが色々と出てくるけど、まあまあ1人平均月30万円としてみる。(仮定5)だと、1909万円 / 30万円 = 63人月。(予想4)半年ぐらいのさっくり開発だってインタビューもあったから、だいたい10人で半年で作ったことになる。まあ、スタッフロールから推定できる(6ヶ月まるまる働いてる人は少ないだろうし)人数と近い気がする。(予想5)
 おおよそ、10人のスタッフが半年で、2万本の売り上げのソフトを作ることが目標だったんじゃないだろうか。

 さらに、追加ダウンロード販売(DLC)を考えてみよう。仮定した2万本の売り上げが正しいとして、ダウンロードするのはどのくらいの数だろう。100円~800円といっても(Wiiでは初めての追加課金だから)追加課金になれていない人が多いだろうし、元値が1500円のソフトに800円払えるかどうかはその人次第だ。面白いから良いと思う人であれば買うだろうし、嫌な気分になった人も居るだろう。これはじゃあ1/3ぐらいは何かしら買うとしよう(仮定6)
 すると、2万本 x 30% = 6000人がDLCをするという事になる。(予想6)
 中身によるけれども、FFCCの場合、新しいダンジョンの追加(300円)、種族の追加(セットで800円)がある。これはいくらの売り上げになるだろうか。たとえばダンジョンのみ買う人ばっかりだと、6000人 x 300円 x 70% = 126万円の売り上げになる。たいしたことはなさそうだけど、実は元々2100万円の売り上げ予想だったので、6%にあたる。300円のDLCを16本だすと、だいたい本体を売り上げたのと同じくらいの売り上げが見込める。ダンジョンの追加はデータ作成が楽だろうから、これはかなり人件費を引いても儲かるんじゃないだろうか。
 逆に、コスチュームチェンジの100円はどうだろう。これも1/3が買うとして、6000人 x 100円 x 70% = 42万円。これはだいぶ少ない。原画→モデリング→販売が1週間ぐらいのタスクだとして8万円ぐらい。1着34万円の売り上げ。けっこう稼ぐように見えるけど、全然小さい。会社の仕事じゃなくて個人的な趣味なら稼ぐ方なんだろうけど。会社の売り上げには貢献しないような気がする。

ただ、3つの仮定が非常に重要である。
1.「200万台 x 10% x 10% = 2万本」
2.「2万本 x 30% = 6000人」
3.「任天堂の取り分は3割」
これのどちらかが違うと、結果もかなり異なる。

 例えば、すごく売れるとする。200万台のうち、ダウンロード販売をするひとがほとんどで、そのほとんどがFFCCを買った(面白いから・評判がよいからとじわじわ売れる可能性はある。店頭と違って販売機会喪失は0に近いから)とする。すっごくうれて20万本売れたとする。これで2億円の売り上げだ。人件費が仮定通りだとすると、会社は1億8000万近く儲けた事になる。これは十分商売になる。コスチュームも充実してきて半分くらいの人が買うとする。10万 x 100円 x 70% = 700万円。これは例えば10着作れば半分くらいの人はどれか一着を買うという前提に立っても、まあまあ儲かる。1着10万円のタスクで100万円。600万円の売り上げなら、まあ継続的な商売になる。

 というわけで、普通に2万本くらい売れると、社員教育+経験+ブランド認知が出来るという事になる。(たとえば駆け出しのデザイナーとかモデラーを使っても、そんなに悪くないだろう)
 すごく売れて、20万本とかになると、会社は大もうけできる。
 これは、スクエアエニックスにとってプラスにはナリこそスレ、マイナスにはならない。(1万本しか売れないと足がでるんじゃないかな。5人で半年で作ってればやはりそれでも問題ないけど)

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 また逆に、3人で3ヶ月で作るミニゲームなら何本売れればよいか、なんてのも計算できる。30万 x 3人 x 3ヶ月 = 270万円。任天堂の取り分を考えると、386万円の売り上げでとんとん。300円のゲームにしたら1万3000本売れればよい。こりゃきついかも。じゃあ600円なら?6500本でいい。これならまあ無理じゃないかも。面白そうならもっと売れるだろうし。
 たとえば、ワリオみたいなミニゲームを3人チームで1日1個つくれ!みたいな社内公募があって、100個で売りに出すとする。100個のミニゲームが600円なら、僕は買う。30個でも買うかもしれない。30個なら1ヶ月で出来るかも。なら300円でも儲かる。3人 x 1ヶ月 = 90万円, 300円 x 70% = 210円, 90万円 / 210円 = 4300本売れれば良い。300円で30個のミニゲームなら売れるだろう。

 結果、Wiiウェアだとちっちゃいゲームをクイックに安く提供することが勝利の鍵だというのが判る。5000円のゲームを1年書けて開発するより、300円のゲームを3週間で作る方が良い。また棲み分けが出来ているとも言える。Wiiウェアでは5000円のゲームを作るのは不合理だし、300円のゲームを作っても儲かる環境が出来てる。
 買う人も安く買える。作る方も楽に作れる。会社はゲームクリエイターに経験を積ませることができるし、ゲーマーも新しいゲームを結構な頻度で遊べる。300円なら、ちょっと毛色の違うのも遊んでみようかな、という気になるし。

 というわけで、Wiiウェアというのはなかなか面白い環境(売れれば儲かるし、Wiiウェアを買うマニアックな人が5000人も居れば市場として成り立つ)だと言える。

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あとで追加すること
・400万台売れたとする資料にリンクすること
・200万台はネットに繋がってるとする資料にリンクすること
・3割が任天堂の取り分だとする噂にリンクすること
・開発期間のインタビュー記事にリンクすること
・販売本数とか数値があったら、探してリンクすること

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